伊勢町海岸みうらボート カレイ釣り

数年ぶりに乗っ込み終盤のマコガレイを狙って伊勢町海岸のみうらボートから出航したのは11月30日の日曜日。当日は大学釣り部の後輩でもある4年生の皆川君を誘っての釣行である。普段はルアー中心の釣りだけに未経験のボート釣りでカレイを釣るのは彼としては初体験だ。

 当日彼は千葉県市川市から始発に乗って馬堀海岸駅で待ち合わせ。ボート出航可能時間が午前7時からだからちょうどいい。天候は薄曇りで風は北東の微風。朝のうちは若干波だっていたが、徐々に凪いできて晴れ間も出てきてポカポカ陽気に。

 受け付けで最近の釣況を店主に聞くと「ポツポツと釣れていますが、釣れる人と釣れない人がハッキリしています。釣れる場所はノリ棚の周辺から少し離れた場所がいいでしょう」という。実は筆者も約4年ほど前にここ伊勢町海岸でカレイを釣っている。そのポイントはまさにノリ棚の角地から少しだけ離れた赤旗のたなびく浮標の近く。水深は10〜11mだ。海底は砂泥帯が中心だがわずかに海藻の切り株が点在する感触がある。

 ボート乗り場から漕ぐこと約10数分。北東風の風向きを考慮してゴロタ石のアンカーを投入すると、うまく流されてノリ棚の角地のブイと赤旗ブイの浮標の中間付近に固定できた。水深は11mで釣り開始。

 早速、カレイ針12号にアオイソメを房掛けにしてボート直下とチョイ投げの2本を投入してアタリを待つ。皆川君は早々に竿3本をセットして置竿に。静かにカレイからのアタリを待つ。彼のロッドは6フィートのライトジギング用に小型両軸リールの組み合せ。シロギス用片天秤にオモリは15号にハリス2号80cm2本針(流線10号)をメインに使っていた。本来なら良型カレイが釣れるこの時期はハリス3号が理想。海面で暴れてハリス切れのバラシを筆者は2回経験しているからである。

 当日の潮回りは小潮で午前11時27分頃に満潮になる。上げ潮を中心に狙うことになる。カレイの時合は一般的に潮変わり前後1時間と言われている。のんびりと構えて5分おき位で聞き合わせをしつつ、仕掛けを手前に動かす。約10分毎に仕掛けを回収してエサの消耗具合をチェックする。これを3本の竿で実行すると案外忙しいのだ。

 皆川君のボート直下の竿が僅かにお辞儀をした感じ。午前8時12分頃のことだ。竿を手にリールを巻き始めると「潮の流れる方向とは逆に引っ張られて、グイグイと引き込みがあります。食った感じですね」と普段通りの冷静な受け答えの彼に筆者の方が慌ててタモを手に取り、海面下を凝視する。すると浮かんできたのは茶色の魚体、マコガレイだ。ハリスが2号というから慎重にタモ取りしなくてはと焦る筆者。カレイが海面でバシャッと暴れること数回。やっとの思いでタモ入れに成功してホッと胸を撫で下ろす。写真撮影してから全長を計測する38.5cmの良型である。皆川君の素直な笑顔が眩しい。自分が釣った以上に嬉しいのはどうしてだろうか。

 その後は10cm足らずの小型ハゼが口一杯にアオイソメを飲み込んで上がってくること数回。アタリは微かに穂先に出るのだが、カレイではない。

 筆者も本命を釣ろうとマメにエサの付け替えや付け足しで投入を繰り返すが、アタリは遠い。

 午前10時過ぎに風向きが変わったらしくアンカーを中心に赤旗ブイ方向にロープが流されため、一度アンカーを引き揚げてポイントを修正して再度同じポイント近くに入ったが、釣れたのはハゼと焦げ茶色のヒトデだけ。筆者は運悪くノリ棚の沈みロープらしきに仕掛けを引っ掛けて道糸から丸ごとロスト。釣れない日というのは得てしてそんなものだ。皆川君はハリを小さくしてシロギスを釣り上げて、午後1時30分頃にエサ切れのため無念の沖揚がりとなった。潮変わりに食いが立つはずのカレイは残念ながらそこには居なかったようだ。

 下げ潮に変わってからゲストからのアタリも激減し、エサがそのまま残ってくることが多かったことを付記しておく。

 もうひとつ不思議なのは彼の仕掛けにはビーズ玉ひとつも装着していない、いたってシンプルな仕掛けにカレイが掛かったことだ。潮色が前日までの南西強風で澄んだからだたうか。こればかりはカレイに聞くしかない。終盤には小型のサメを彼は釣り上げた。これも一般的な知識だが、海底近くでサメがアオイソメを食うということは潮色が暗く濁っている場合が多い。水深11m下の潮色までは分からないが、海水温は水温計で16度だった。

 また、3本竿を出して6時間以上釣る場合、一人当たりのアオイソメの分量は110gでは足りなくなるということも良い教訓になった。ボート釣りの場合、カレイ狙いでなくても余るぐらいのエサ量は必要だ。

 皆川君は自宅に戻ってマコガレイを5枚に卸して刺身で食べたという。さぞや美味しかったことだろう。羨ましい!  来年4月の花見ガレイでリベンジすることを誓って伊勢町海岸を後にした。









沼津重須日盛水産 ボートアマダイ五目釣り

海水温が20度を切る頃になると不思議と良型が釣れ始めるのがアマダイである。このアマダイ、関東より関西で人気が高い。グジなどと呼ばれ浜値も高額だという。そんなアマダイを狙ったわざわざ沼津の重須まで出掛けたのは11月23日。今年最後の三連休の中日だ。約4年前にここから漕ぎ出して全長44cmのアマダイを釣り上げたことを忘れることはできない。


当日は予報通りの北東微風が吹くだけのほぼベタ凪。そんな気象条件をネットでチェックした釣り人が押し寄せたため日盛水産のボート店主は「今朝は朝方4時30分頃から続々と来て駐車場も一杯で大変だったよ」と嬉しい悲鳴。だが、大半は船外機ボートの釣り客かイケス回りでチヌのカカリ釣り客だ。筆者のように手漕ぎで水深60〜70mのアマダイを狙う人は皆無。理由は簡単だ。ここの手漕ぎボートはボート底が平らなためか漕いでもなかなか進まない。推進力がないということ。以前にも体験していたのだが、凪でも進みが遅いのだ。ただし、1日借りても2500円は貧乏釣り師には嬉しい。しかも大半がイケス付きで幅も広い。


午前7時過ぎには漕ぎ出してポイントの目印になる淡島までは約30分かかる。早朝は無風だったからこの時間で到着できたが、帰りは約2倍の時間が掛かったことは逆風だったからだ。これは運動不足の筆者にはちょっと辛かった。最初のポイントは水深48m前後から完全流し釣りでスタート。タックルは小型電動リールに1.8mの船万能ロッドの組み合わせ。道糸はPE4号だが、オモリ60号で十分釣りが成立した。当日の潮回りは大潮だったため一応80号オモリまで準備したが、その必要はなかった。仕掛けはハリス3号2.5m2本針と長めを選択。チモトに蛍光グリーンのソフトビーズを装着。


釣り方はオモリが着底して1秒待ってからハリスの半分、約1.2mほどリールを巻き上げてから誘いを入れる。竿先を上下に1m程度振りつつ付けエサきオキアミを海底付近で漂わせる。2回に1回はマメに底立ちを繰り返してアマダイの食い気を誘う。最初から定番外道のオンパレードの洗礼を受けることに。クラカケトラギスを筆頭にオレンジ色の帯が綺麗なオキトラギス。タナが低いと判断して少し上を誘うと今度はキダイ=レンコダイのミニサイズが連発。やっとタナがピッタリというところでアカポラ=ヒメコダイも顔を見せる。


午前9時30分に水深60mちょっとのポイントで重量感のあるイイ引きを味わって顔をみせたのが派手な姿のミノカサゴ。期待感があっただけにガックリ。その後も少し深い水深70m前後まで攻めたのだが、本命アマダイからの魚信はないまま。昼近くになると東寄りの風が吹き始めて流される方向が変わり、狙い通りの深い場所に向かってくれない。時々風が全く消えると今度は湖状態でボートが流れない。オールで漕いで強制流し釣りもできたのだが、体力的に帰りが辛くなるのでそれは断念。


結局、午後1時25分に心が折れてトホホの沖揚がり。アマダイからの魚信を感じないまま無念のボウズに。だが、多彩な外道とのひと時の対話を楽しめたことがせめても救いか、って救われてませんから。(T T)

釣り人は過去にその釣り場で一度イイ思いをすると「柳の下の2匹目のドジョウ」を追いかけてしまうもの。もうひとつの教訓はここの手漕ぎボートはイケスに係留してかかり釣りをするタイプのボートだということ。そうでない場合は船外機ボートのレンタルをオススメする。






走水港関義丸 午前ビシアジ釣り


東京湾の海水温が20度を切ること頃になると美味しいアジが釣れる走水に出来かけたくなる。走水といえば東京湾の中でもブランドアジとして知られる超高級魚だ。松輪アジと並び称される絶品の刺身が食べられるから天気の良い週末を避けて11月14日の金曜日に出掛けた。足を運んだのは人気の関義丸の午前船。ところが驚いたことに前日の釣果が良かってこともあり、平日にも関わらず乗船客はなんと19名となった。


筆者は左舷のトモから2番目に座り、地元常連客の斉藤さんと雑談していると出船15分前頃にその間に横須賀市の円能寺さんが座った。これでほぼ満船状態である。船長は定刻の午前7時30分より約10分ほど早く舫を解いて港を後にした。当日の天候は晴れで北風微風の凪。そうした絶好の釣り日和ということもあって満船になったとも言える。


まず驚いたのは最初の釣り場まで航行することものの10分弱。まさに港の真沖といっていい。ここ数日釣果が期待できる沈船のポイントでスタート。この場所は常連の斉藤の話しでは「海面からのタナで40mで食ってくるからビシを海底まで落としたらすぐに根掛かりするから注意して」とのこと。船長もその言葉通り「タナは海面から40mだから下まで落としたらダメです」という。


筆者も40mでピタ止めしてその場でコマセを振り出してアタリを待つとものの2分でグングン、グイグイという重量感のある引き込みを感じつつ、リールを3回転ほど巻き上げてから電動リールのスイッチを入れる。すると、水深が浅いためかアジの突っ込みが強く楽しい。海面に浮かんだのは25cm級のダブル。一気に抜き上げて幸先の良いスタートを切った。


その後も同じタナでコマセを振るとガツンガツンという強烈なアタリが連発。3匹は全長30cmに迫る良型で体高のある走水ブランドアジが釣れた。その後もほとんど入れ食い状態が30分ほど続いたのだが、午前9時前には突然の食い渋りに突入。周囲でもアジを取り込んでいる釣り人は皆無となった。


痺れを切らした船長はポイントの移動を告げる。次の釣り場は沈船のポイントではなく、通常の「タナは下から2〜3mでやって下さい」という指示で分かった。いつもはこのタナだから安心したのだが、いかんせんアタリが遠いのだ。コマセを振り出して2分待ってアタリがなければすぐに仕掛けを回収してコマセを再度詰め直して投入を繰り返す。周囲でも釣れていない時間が流れる。


筆者の座る左舷トモ側だけでなく右舷側もアタリがほとんどないというから困ったものだ。船長は「昨日からの南西強風で水温が下がって18度前後になって、さらに潮が澄んでしまった」と同宿のHPでも呟いていた。アジに限らず南西風が吹くと海水温が下がって潮が澄む傾向がある。大半の魚は突然の潮の変化に対応できずに食い渋りになるという。ただ朝の40分程度まではそんな雰囲気は微塵もなかったのに可笑しいと感じるのだが、そこは自然界のこと、詳しいことまでは分からないものである。


船長はその後もポイントをあっちこっちと変えたものの潮の急激な変化には勝てないもの。当日の竿頭が10匹、筆者も8匹という貧果に終わった。ただ、大半のアジは25cmオーバーで筆者は最大で34cm、最小でも22cmはあった。残念だったのはこの時期に釣りたいと思っていたサバが釣れなかったこと。全長40cmに迫る巨体のマサバは今では高級魚の仲間入り。これから冬場にかけて水温がもっと下がれば脂が乗った美味なサバも魅力のひとつである。シメサバにして食べると最高の味覚を堪能できるのだ。


自宅に戻ってから食べた刺身と叩きは絶品を通り越してまるで高級料亭でも食べられないような甘みと旨味がギッシリと詰まったものだった。翌日には塩焼きで食べたが、これも筆舌に尽くしがたい味覚を満喫できた。実は2匹だけ内臓だけ取り出して冷蔵庫のチルド室に入れて2日置いて食べたのだか、アミノ酸の放出が一層増したのか初日の刺身よりも旨かったことを付記しておきたい。走水ブランドの高級アジ、恐るべし、である。






片瀬漁港萬司郎丸 イナダ五目釣り


秋は釣りモノが多くて困る。ただどうしても外せないのは青物だろう。終盤戦を迎えた剣崎沖のワラサも考えたが、地元でサクッと50cm前後のイナダも悪くない。ゲストに小型マダイが混じるというからお土産には困らないだろうと甘く考えたのが悪かったようだ。


10月31日に向かったのは片瀬漁港の萬司郎丸。前日は一時入れ食いタイムがあり、2〜14匹という好釣果を記録。出船は午前6時。それでも自宅から近いため1時間前には受け付けを済ませて乗り込んだ。当日は平日金曜日ということもあり、乗船客は筆者を含めて5名。筆者の釣り座はいつもの右舷胴の間付近。


当日の天候は曇天で今にも雨が降り出しそうな雲行きだ。それでも風は弱く北風弱風。船長はポイントである亀城根を目指してゆっくりと40分ほどかけて航行する。到着後もしばらく魚探反応を慎重に見ながら釣り開始の合図が出たのは午前6時50分頃。

水深は46m前後でタナは底からハリス分プラスアルファ。ハリスは4〜5号で長さは4.5〜6mが最適という。筆者は最初に4号6mの2本針で挑戦した。タナは少し深めのハリス分だけ。底から6mでアタリを待った。


すると2投目で穂先が軽く震えてわずかに曲がった。キーパーから竿を手に取り聞き合わせをしてみると、何かが掛かった感じ。だが、イナダではない。巻き上げてみると全長20cmちょっとのチャリコ。これはあまりに小さいのでリリース。午前8時少し前から周囲では本命イナダがポツリポツリとヒットして取り込まれている。


周囲に遅れること20分。筆者にもイナダ特有の強烈な引き込みがあって穂先が突っ込む。すかさずリールを手巻きで15mほど巻き上げた所でテンションが失せた。仕掛けを回収してみるとハリス切れ。しかも2本とも針のチモト付近から切れていた。これはイナダが針を飲み込んだためハリスが口の周辺で擦れて切れたと考えられる。ハリスを4号から5号に変えて長さも4.5mと短くしてみた。するとその数分後に再度強烈な突っ込みがあってドラグが滑る。リールのハンドルを巻いても巻き取れない状態が数分続いて、またまたバラしてしまった。これも同様に針のチモトから切られていた。掛かりところが悪いとハリス切れになることは分かっているが、なかなかうまい所(口角)に掛けられないのだ。


左舷ミヨシ近くに釣り座を構えた横浜市の石川さんは順調にイナダを取り込んでいる。筆者が少し焦り始めたのは言うまでもない。アタリがあってファイトまでは持ち込めるのだが、取り込むまでにハリス切れになってしまう。それも立て続けに3匹もである。これは辛いものがある。小さなマダイはその後も数匹釣れたので一応桶の中で泳がせることに。高級ゲストとはいえサイズ的に満足できない。


やっとの思いで全長47cmのイナダを釣り上げたのは午前10時45分頃。周囲ではほとんど3本以上釣り上げているのにである。

船長に「ハリスを6号にして3mの長さにしても大丈夫かな」と聞くと、「活性が高ければいいけど5号の4.5mがいいと思う」とのこと。ハリスが切られるのは掛かりどころが悪いためで4号を6号に変えてもバレる時はバレるようだ。こればかりは運なのだろうか。もちろん、ドラグを緩めに調整してファイトしているのだが、テンションが掛かっていればイナダのザラザラ歯ではひとたまりもないのかもしれない。


なんとか1本の本命を釣り上げて再度5号4.5mの2本針で2本を狙ったのだが、午前9時30分過ぎからはアタリも遠くなり、ポイント移動を繰り返す。途中軽い引き込みで釣れたのは全長32cm(後検寸)のマアジ。そういえば、その前に強い引きで上がってきたのがアイゴと小型マダイのダブル。


そこで船長にタナを確認してみた。すると「ハリスが4.5mなら底から8mがいいですね」という指示。失敗したのはこの指示ダナにもあった。ハリス分+2m前後かと思っていたから底上げ6.5mで釣り続けていたのだ。これでは外道が多くなるわけだ。


教訓として言えることはアタリが遠くなってきたら船長に今現在の食いダナを聞くことである。ハリス切れ以前にアタリがなくなるのはタナが合致していないからだ。その後は魚の活性が高まることなく、午後1時30分に沖揚がり。筆者は辛うじてボウズを逃れたが、貸し竿の石川さんはイナダを5本、これにカイワリやカワハギなど美味しいゲストを釣り上げていた。


今後は釣り開始前に前日までのタナやハリス号数などを確認し、さらに食い気が落ちてきたら再度食いダナを確認するようにすることである。相模湾のイナダは高活性の日に当たればツ抜けは当然という釣果が続いている。水温はまだ20度前後と高い。青物の群れはまだいる。ぜひ筆者のドジぶりを教訓に大漁を祈ってやまない。





金沢漁港忠彦丸 午前タチウオ釣り


毎年10月は釣りモノが豊富なために何を狙うかで色々と悩むことが多い。実は最初久しぶりに小田原方面で好調なヤリイ釣りを考えていたのだが、高騰のガソリン代を考慮して東京湾のタチウオ釣りに決定した。理由は9月に一度さんざんな釣果で辛い思いを払拭したかったからだ。今年のタチウオは当たり年といわれながらも極端にアタリの少ない食い渋りに遭遇してなす術がなかったのだ。


そこで短期集中の午前船で勝負、と考えて金沢漁港の忠彦丸に足を向けたのが10月17日の金曜日。台風19号が過ぎ去って3日ほど経った絶好の凪日和だ。当日は平日とあって乗船客は筆者を含めて3人だけ。出船が午前7時30分だったが、受け付けを済ませて乗り込んだのは午前7時前。釣り座は右舷胴の間を選択。魚探の位置が近いため、より群れの近くで釣りができると考えたからだ。タチウオの場合、コマセ釣りと違い潮流の方向にあまり神経質になる必要はない。


定刻より10分ほど早く港を離れて向かったのは安定した釣果が期待できる観音崎沖。ポイントまでは約30分。凪ぎのためか「はじめ船長」もフルスロットルで現地を目指す。すでに観音崎沖はタチウオ狙いの釣船で大船団が形成されていた。船長から合図が出たのはものの5分。「水深65mで下から15mまで探って下さい」で3人の仕掛けが一斉に投入された。筆者は小型電動リールの道糸がPE4号だったためオモリ100号を使用。仕掛けは片天秤にハリス4号1本針。その針にはケイムラ色の化学繊維ファイバーを装着して少しでも目立つ工夫を凝らした。水深が深いため水中ランプも装着したが、正確にはランプではなく、ケミホタルホルダーを天秤とし掛けの間に装着した。


すると、この仕掛けが功を奏したのかは分からないが、1投目からアタリが出て、速攻で竿先を大きく上へ突き上げてやるとガガガッと強烈な引き込みが出た。すぐさま電動スイッチをオンにして巻き上げると、全長80cm弱のそこそこサイズの本目が釣れた。これは幸先の良いスタートだ。朝のうちの高活性の時間帯にサクッと数本を釣ろうとすぐにエサを付け替えて投入する。すると2投目でも水深54m前後でググッという食い込みがあり、2本目をキャッチ。型も同サイズで気分がいい。船長の話しでは「細くて短いのも混じります」という話しだったが、全長80cm前後なら文句はない。手の平の指で計測しても4本は確実というサイズである。


当日の釣り方はこうだ。オモリが海底に着底したらすぐに2mほど巻き上げて1秒待つ。ハリスが1.5mだから誘い方はゆっくりと上方へ20〜30cm幅で3回程度ゆらしながら巻き上げるのだが、必ず1秒程度のポウズ(静止状態)を加える。簡単に言えば、食わせる間を与えてやるということ。するとこれが良かったのかタチウオの食い気が一気に上昇し、3本目も比較的簡単に釣れてくれた。ハッキリ言えることは当日のアタリが頻繁で明確ということだ。食い渋りの9月の時とは異なり、ほとんど最初のアタリで針掛りしてくれるため難しい誘いや待ち時間は不要だった。いわゆる食い込みアタリを待つ必要がなく、ググッと引き込んだら即座に穂先を立てて一気に電動リールのスイッチを入れるだけ。これだでけ釣れてしまうのだから楽しいことこの上ない。食い渋りの9月とは魚が違うのではと思ってしまうほどだ。


途中、何回はハリをチモト付近からスパッと切られてしまう場面も数回あり、仕掛けの交換を余儀なくされたが、これもタチウオの活性が高い証拠と考えていい。後半は針のチモトに編み込み補強された市販仕掛けを使用することで少しでもハリス切れを防ぐ対策を考えた。大切なことはエサのサバ短冊の装着方法。船長から聞くと「皮から刺して縫い指して、最後に身肉側に針先を出すこと」という。エサの短冊も小指の長さ程度で適度に短い。垂らしの長いエサでは針掛りが微妙に悪くなり、バラシが増えることがある。


午前10時を過ぎると朝のモーニングサービスは終了し、アタリの数が減りエサがそのまま戻ることも多くなってしまった。鎌倉市からきた松本さんは誘い方の手が当日のタチウオに合わなかったのか、10時過ぎに待望の1本をキャッチ。満面の笑みで写真撮影に協力して頂いた。もうひとり左舷大ドモに釣り座を構えた横浜市戸塚区の谷沢さんも手慣れた誘い方で10本の釣果を得て、満足そう。


結局、午前11時の沖揚がりで港に戻ることに。朝から天候も良く僅かな北風微風はあったものの途中で合羽の上着を脱ぐほどの好天に恵まれた半日だった。釣り時間は正味3時間強だが、タチウオの活性が高ければ筆者のように13本の好釣果に恵まれることもあるのだ。最大サイズは全長95cmだった。







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