葉山一色海岸 ボートシロギス五目釣り

 

横浜の最高気温が31度になるという天気予報を耳にして、風のない凪なら手漕ぎボート釣りに出掛ける予定を立てていた。昨年は乗合船でも数が釣れなかったという湘南エリアのシロギスは今シーズンはどうなんだろう。最盛期とも言える6月下旬の25日、クルマを走らせたのは昨年リニューアルオープンした「一色ボート店」。以前は池田ボート店として葉山では人気のあったボート店だったが、店主が他界されたということで現在の店主が引き継いだようだ。もうひとつこの葉山に向かった理由は葉山公園の駐車場が6月末まで平日に限り無料となっているからだ。6月25日は月曜日。この日しかないというタイミングで海が凪いでくれたのは幸運としか言いようがない。これでシロギスがそこそこ釣れれば最高なのだが。

 

午前7時40分頃に葉山公園の門扉が開いて早速支度に取りかかる。少し重い荷物を担いで御用邸前の砂浜海岸を歩いて一色ボート店の小屋に辿り着く。ボートを漕ぎ出したのは午前8時ジャスト。当日の潮は中潮。午前9時16分が干潮でその後は午後4時10分に満潮となる。ボートの帰りは午後3時着岸だから上げ潮の良い時間帯に勝負を掛けることができる。期待できそうだ。当日のタックルは狭い手漕ぎボートの中で使いやすい振出式のパックロードを3本とマゴチ狙い用のワンピースの短い端物竿を持ち込んだ。もう1本はタコ釣り用のロッドも欲張って持ってきたが、着岸後ボート店の人に話を聞くと「このエリアはタコ釣り禁止ですから漁師さん以外はダメなんです」と後で分かった。結果的に餌木タコ釣りはしなかったのでトラブルはなかった。充分に注意したい点である。

 

さて、最初のポイントで掛かってきたのはなんとササノハベラの3点掛け。針数が3本のトロギス仕掛けを使ったのだが、完全に根廻りだったらしく速攻でポイント移動。砂地帯まで数分漕いで仕掛けを投入する。仕掛けは一般的な片天秤のシロギス仕掛け。オモリは12〜15号を使った。潮流はゆっくりで風は北風微風だからアンカーを入れずに完全な流し釣りを楽しんだ。だが、シロギスからのアタリはまったくない。2本目のパックロッドに仕掛けを付けてチョイ投げでアタリの確率を高めても虚しいばかり。

 

仕掛けを回収してもエサのアオイソメが付いていればまだいい。最悪なのは産卵期にあたるクサフグがハリスと針を切っていくこと。これは腹立たしい。群れで行動するフグ類だけに速攻で再度ポイント移動。とはいえ、アンカーが入っていないためすぐに漕ぎ出すことができるのは助かる。流される方角は一色堤防の沖合150mから芝崎埋立地方向へゆっくりと移動する。潮も風も弱いからできる流し釣りは広範囲を探ることができる釣法である。チョイ投げで仕掛けが着底したらリールの糸フケを取って、そのまま置竿にできる。ボートが少しずつ流されることで適度な誘いが自然にできるからだ。

 

やっとシロギスの1匹目が釣れたのがなんと9時30分過ぎ。上げ潮に変わった直後と考えて良いだろう。これからバリバリ釣れるだろうと思ったら大間違い。アタリは忘れた頃にクククっ穂先に出る程度。単発というより散発だ。群れが固まっていないというより個体そのものが少ないという印象。砂地帯に棲息する魚はいるはず。アタリが少ないのは潮が濁っているからだろうか。確かに10時20分頃に大きく竿が曲がって全長26cmのイシモチが釣れた。このエリアでイシモチを釣ったのは初体験。濁り潮で元気になるイシモチは知っているが、シロギスがここまで釣れないというのも経験がない。

 

流し方のコースを少し移動してみても好転は見られない。小型のホウボウやフグのスレ掛かりでのんびりと楽しんだが、これでは晩酌のツマミ程度にしかならない。午後になると多少活性が高まったらしくシロギスが3匹ほど追釣できた。その後、流し釣りでは珍しく小メゴチが釣れたので速攻でマゴチ仕掛けを投入した。活き餌の泳がせ釣りである。シロギスのボート釣りの裏本命と言っていい魚だ。マゴチ狙いの端物竿を出す時にはシロギス竿は1本にすること。理由は端物竿のマメな底立ちの取り直しが必要になるからだ。活き餌が動くさまをマゴチにアピールすることがヒット率を高めることになる。

 

昼過ぎになると風向きが南寄りに変わった。それでも不思議と流される方角に大きな変化は見られない。するとマゴチ仕掛けを投入してから2回目の流しかえでアタリが出た。最初はゴツゴツ、次にグングンと竿が曲がり、少しだけ竿先を海面に近づけて待っていると、ガガガッと大きく曲がったところで強くアワセると針掛かりしたようで強烈な突っ込みが続く。咄嗟にリールのドラグを緩めて対応。ズルズルと糸が出されて道糸が前方に走るではないか。まさかアオモノ=イナダかと思ったがメゴチは食わないはず、と慎重にリールを巻きつつ海面に浮かせると茶色のマゴチの魚体がユラ〜りと左右に走る。少し弱った所でタモ入れに成功。無事にランディングできた。目測で50cm前後と思ったが、着岸後ボート店で計測すると全長52cmもあった。シロギスの魚影は薄くともマゴチの数は多いのかもしれない。

 

午後2時30分に竿を畳んで海岸まで漕ぎ戻った。全釣果はシロギスは4匹、イシモチとホウボウが1匹ずつ。このマゴチが釣れていなければとても寂しい釣果だったに違いない。シロギスの魚影は今年も薄いことがわかった。水温は海底で21.5度。この水温で食わないシロギスはいないはず。マゴチは翌日捌いて刺し身で食べたが、一部柵の状態でチルド室に寝かせた方が旨味が出て、白身魚特有の豊潤な甘みも感じられた。日本酒が欲しくなる魚である。
 




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