伊東海岸はるひら丸 ボートサビキ五目釣り

 

今年の8月はとにかく台風の発生が例年になく数多く、波風に影響をモロに受けるボート釣りにとって苦難の年となっていた。猛暑を通り越して酷暑といっていい日が続いていた8月下旬にやっと一筋の光明が射した。それが8月28日の火曜日だった。前日の天気予報と風向きなどを調べて待ちに待ったボート釣り日和が訪れたのだ。絶品のカイワリの刺し身を食べたくて電話予約を入れたのは紛うことなき伊東海岸。1日2000円の貸しボート料金は伊東でも破格値である。「はるひら丸」に電話を入れると女将さんが「海岸に海の家があるので声を掛けて下さい」とのこと。予定よりも早く午前7時10分に無料駐車場に停めて、海の家に行くとまだ開店前で、誰もいない。

 

そこで店鋪に行くと若旦那が対応してくれてボートを出せることに。ただし、ここではボートの上げ下ろしは借り主も手伝うのが常識。結局漕ぎ出したのは午前8時10分前。当日の天候は北東の微風で風速は1〜2mのベタ凪。昼頃から南寄りの風に変わり、少し強くなる予報だったが、結局午後3時の着岸までほとんど凪ぎが続いてくれた。参考までに水深25m下の水温は25度であった。

 

狙いは伊東海岸での一級ポイントである「カメヤホテル前」。水深25〜30m前後の平根で点在する場所だ。そのため、事前にアンカーロープは45〜50mは欲しいことを電話で告げておいたが、結局当日若旦那が対応してくれた。はるひら丸のアンカーは4本スポークの軽いモノ。根廻りに掛かってしまっても反対側に漕ぎ戻れば外れるはず。起伏のある岩礁帯ではないからだ。

 

漕ぎ出してポイントに到着したのは約10分後。凪の海で筆者一人だけのため進行速度は速い。山立てはこうだ。カメヤホテルの右側にあるホテルパウエルの建物の左側に赤い看板に白地で「靴」の文字が見える。その文字が半分か3分の1程度隠れる位置が右手の山立て。左側は伊東漁港の白い灯台と漁協白い建物をほぼ重ねる。この時に漁協の建物の奥の山の中腹ににある小さい赤い屋根をほぼ右手に重ねるのがベスト。そうすると水深は26m前後の位置に来るはず。とはいえ、当日の風向きや潮流を考慮してアンカーを投入しないとズレることが多い。当日は運良く風は弱く、潮も緩いため最初の投入で運良くイイ感じにボートが安定してくれた。

 

速攻でサバ皮のサビキ仕掛けを投入すると、ものの5分で竿先がグイングインと海面に突っ込み、「コレはデカいカイワリか」とほくそ笑んだが、すぐに穂先がフワッと戻るサバ特有の下品なアタリに変わり、海面で横走りする魚体でガックリ。底上げ2mでアタリを待ったのだが、2投目からは1m上げて待ってもサバの猛攻に遭うことに。注意したいのは針数の多いサビキ仕掛けを不用意に取り込むと針が指に刺さり、大ケガをするということ。タモ網で取り込むと針が網目に刺さり、手返しが悪くなる。それでも指に針が刺さることを考えればタモで掬うことは忘れてはならない。全長30cmオーバーのゴマサバでも海面近くでは右に左に走りまくるので取り込みは要注意である。

 

コマセは冷凍アミコマセ1kg。これに集魚剤「波止の鬼 アジの巻き」を半袋混ぜた。すると冷凍コマセが融けても水分が出ずにまとまりが良い。コマセカゴに入れやすく汁がないの手返しが早くなる。このメリットは大きい。だが、掛かってくるのはサバばかり。タナを海底から1mで待っていても掛かるのはサバだけ。1匹だけ小さなマルアジが掛かったが、本命カイワリからのアタリはない。そこでもう1本のロッドにはテンビンを使ったビシ仕掛けをセット。緑色のスキン巻きが2本、先針が空針にオミアミを刺して投入するのだが、これもサバ攻撃の被害に遭うことに。海面下2m前後で左右に走るためビシ仕掛けの道糸に絡むことがあり、これは困ったことに。仕掛けとPEラインの絡みはロスタイムが大きく、2本のロッドの稼働率が低下することを考えて、サバの活性の高い時間は1本竿で対応していた。

 

もちろん、アジやカイワリがかかってくれば無理をしても2本竿で釣っていただろうが、サバばかりなら1本で充分と考えたからだ。後で分かったのだがサバの中にはゴマサバばかりでなく、マサバも数匹混じっていた。掛かったサバも良型だけは血抜きをして3分以内に氷漬けのクーラーBOXに仕舞っていたがゴマサバばかりと思っていた。ただ夏が旬のゴマサバも全長が40cm近くなれば脂が乗って旨い。だが、大半が32cm前後と中途半端なサイズで困ってしまった。結局、針を外す時に握って魚体が太いモノだけをセレクトして他はリリースした。

 

当日の潮は中潮の初日。午後12時8分に干潮となる予定だったが、同時に風も南寄りの微風に変わりボートの向きが変わりアンカロープが弛んできたのでポイントを移動してアンカーを入れ替えた。ポイントは少し変わり水深29m前後に。これで本命カイワリがきてくれれば、期待したが、終盤近くになってビシ仕掛けのオキアミに26cmのイトヨリが掛かって、「今日は諦めよう」と竿を畳んだ。情熱は常には報われない。どこかで聞いた釣具メーカーのTVCMではないが、コマセがなくなる最後までサビキとビシで粘ったが、カイワリからの魚信はなかった。途中で他の釣りモノに変更しようかと頭を過ったが、浮気をすれば後悔するだけ、と心を鬼にしてアノ強引を信じて待った。だが、結局午後2時30分過ぎに漕ぎ戻ることに。

 

持ち帰ったサバの中に2匹だけマサバがいた。ただ脂の乗りはゴマサバに分があったようだ。塩を多めに振って翌日タルタルソースを掛けて2日間わたって食べ続けた。イトヨリは昆布締めに。マルアジは刺し身で食べた。どれも酒のツマミとしては絶品であったことを付け加えて筆を置こう。

 




金沢八景荒川屋 午前LTアジ釣り

 

8月22日の水曜日、台風19号が小笠原諸島を北上中、一方台風20号が九州地方に上陸しつつあるという日に東京湾でLTアジ釣りを楽しんだ。日本列島も広いものである。足を運んだのは金沢八景の荒川屋。この船宿が嬉しいのは平日に利用できるシニア割引だ。通常6200円のところ1000円引きの5200円に。しかも、駐車場の料金が無料になる。前日の予約も不要だから安心して出掛けた。前日に同宿のHPで釣果情報をチェックしてみると、これが凄い。数ではなく、型がデカいのだ。35cmオーバーが混じってスソで20匹、トップで40匹超とは驚き。LTアジ釣りとは思えない良型が釣れ盛っていた。

 

これを見て来店を決めたLTアジ釣りファンは当日約16人ほど。私が座った右舷だけで8人だから両舷で16人と計算しただけなので違っていたら申し訳ない。人気の高いLTアジ釣りだが、数と型の両方で満足できたらラッキーと思った人は多かったに違いない。だが、自然界はそんなに甘くない。釣り人の思惑通りに釣果を出すのは案外難しいものである。今回もいつも通りの「昨日までは良かったけどねぇ」という船長の声が聞こえそうな結果となったことを先に書いておこう。

 

LTアジ船は定刻の午前7時30分より2分ほど遅れて桟橋を離れた。向った先は横須賀沖。海上は南寄りの風が吹いていたが、釣り場に25分ほどで到着すると心地良い潮風が陸上での猛暑を忘れさせてくれる。風速は5m前後。風に向けて舳先を向けると右舷は日陰になる。胴の間なら操舵室の影になり、直射日光を遮ってくれる。たぶん左舷は当日暑かったのではと予想できた。

 

さて、釣り開始からものの5分程度でクククッというアジ特有のアタリが出て、幸先よく1匹目を釣り上げた。水深は17mという浅い場所だけに型が20cm強でも引き味は強く感じた。タナは底上げ2m。貸しビシは30号で1m巻き上げて1回コマセを振り、もう1m巻き上げて2回目のコマセ振り。ここで10秒前後待っているとグングンと強い引き込みが訪れることが多かった。サイズは期待通りではなかったが船長が一番美味しいサイズという20〜25cm前後がポツポツと釣れてくる。上顎の硬い場所に針掛かりしているので海面バラシもない。付け餌は赤短のみ。

 

しかし、アジの活性が高かったのは釣り開始から1時間弱といった感じ。午前9時を過ぎる頃になるとアタリが渋い、というよりアジがいないのでは、と思うほど何も掛からない。潮回りは中潮の初日。午前8時27分が干潮だから午前中は上げ潮で釣りができることになる。20分程度の潮止まりはあるにしても10時を過ぎてもアタリが皆無になるというのは理解できない。もちろん、船長はポイントを移動してくれるのだが「魚探を見ているとビシが落ちると魚がパッと散るんだよね」と嘆き節が口をついて出る。「これが自然界の怖いところなんですよ」と半ばお手上げ状態だ。

 

右隣の芝崎さん(埼玉県久喜市)は「これじゃ、納得できないですよね。速攻でリベンジしないと」と悔しがる。撮影に協力していただけたのは午前11時の沖揚がり直後。お隣の釣り仲間、小林さん(埼玉県羽生市)と一緒に手持ちアジでニコパチをして頂けました。有り難うございました。釣れている時間帯に撮影ができなかったのはまさに突然アタリがゼロになるという非常事態になったからだ。

 

唯一残念だったのは、もう少し大きくポイント移動をしてくれれば活性の高いアジを探し出せたのではないかという点。平日に10人以上が乗船していれば油代を気にせずに大移動が可能だったのでは。とグチりたくなる。とはいえ、当日は釣りに不慣れな貸し竿組の他に小学生のお子様も数人乗船していた。つまり、潮の早く、水深が深い場所では仕掛けのオマツリが予想されたかもしれない。これも船長判断ということだ。

 

当日の午前船の釣果は船中トップが16匹、スソはなんとゼロ。私は辛うじて9匹を釣ったものの、型に不満が残った。参考までに午後船はトップが52匹とか。アジ君のご機嫌が斜めの日に出掛けてしまったのは運が悪かったといえよう。また運の良い日に巡り合うことを信じて竿を仕舞った。

 



京急大津港小川丸 ショートタチウオ釣り

 

今年の夏は尋常な暑さではない。流石の私も釣りを躊躇してしまうほどの猛暑が続いている。そんな8月4日の土曜日、海が凪ということで前日に予約を入れたのが京急大津港小川丸のショートタチウオである。今年最初の夏タチウオはSNSで釣り仲間となった国分寺市の伊東と同行することができた。というより、伊東さんは昨年10月にタチウオ釣り初体験で3本しか釣れなかったことで相当悔しい思いを募らせたようだ。それが証拠にタチウオ専用ロッドに小型電動リールを新調してきた。ダイワ製のブランド品だ。タチウオ釣りに対する並々ならぬ意気込みと情熱が伝わってくる。

 

当日は8月最初の週末ということもあり、前日の電話では「駐車場が混雑するので最遅でも午前6時までにはきて下さい」と言われて、私は5時15分には到着して受け付けをしたら女将さんから「お連れの方はもう受け受けをして船に乗り込んでると思います」と言われてビックリ。いくら横横道路の最終出口の馬堀海岸から近いとはいえ、国分寺からクルマで来るのになんと伊東さん曰く「3時に起きました」と言う。釣りは情熱、という昔の上州屋のTVCMを思い出すが、ここまで力が入って入ると、何か末恐ろしいモノを感じてしまう。目標本数は10本と伊東さんは言うものの、私はたぶんそれ以上は絶対に釣るはずと確信していた。

 

第十五小川丸は定刻より10分ほど早く舫が解かれて、港をゆっくり出航した。最初のポイントは大津港の真沖。水深45m前後でスタート。今年は水温が高い割に指示ダナが深い。浅いポイントでは30mを切る場所もあるはずだが、当日は走水沖に移動しても50m前後であった。たぶん8月下旬頃には30m以浅に群れが固まる可能性もあるだろう。

 

さて、釣り開始から20分足らずで伊東さんがタチウオを掛けた。取り込みもスムースで慣れた手つきである。とてもタチウオ2回目とは思えない。ただ若干電動リールの操作に戸惑う時もあったようだが、ジョグレバーに不慣れなだけ。彼が言うには「ユーチューブでタチウオの誘い方を徹底的に見まくり、熟知してきましたから」と自信たっぷり。海面へ向けた穂先を鋭く短くシャクリ、リールのハンドルも半回転以下という小刻みな誘い方が当日のタチウオには適合したのか次々と数を重ねる。活性の高い時間はおよそ8時頃から9時30分までであったが、少し食い渋り時間になってもロッドを握る手を休めない。給水する時間以外は常に誘いを入れている印象があった。比較的早いテンポでシャクリ、合間のポーズのタイミングは非常に短い。

 

一方、私はといえば、最初から「良型が3本釣れればそれで良い」という欲のない、緩〜い釣り方。誘い方はほぼ同じだが、シャクリ幅は40cm強で食いの間をタチウオに与えるため僅かにポーズを入れるだけ。安物の万能ロッドは6対4〜5対5の軟調子のためかタチウオが掛かると小型でも手元のパッド近くからグイングインと曲がり、見た目には楽しいが海面に上がってくるタチウオはどれも70cm前後の夏タチサイズばかり。

 

それでも活性の高い時間帯に運良く念願のメーターオーバーを1本釣ることができた。ご検寸で105cmあった。この1本で満足してしまったためかその後の釣りに気合いがあまり入らず、数が落ちた。右隣の伊東さんはバリバリと掛けては巻き、取り込み餌を付け替えて投入を繰り返す。

 

左隣の露木さん(平塚市)は途中穂先を破損するトラブルがあったにも関わらずガンガン釣りまくる。餌付けを見ると、私の縫い指しとは正反対のチョン掛けだ。話を聞くと「チョン掛けの方が勝負が早いですよ。アタリ即掛けアワセで釣れますから。ただ掛けられなければ餌がなくなっていることが多いのですぐに仕掛けの回収が欠かせません」と言う。実際、私もチョン掛けで釣ってみると、アタリがあってから直ぐにアワセても掛かりが良く、午前10時過ぎ頃から食い渋りになった時には有効に思えた。いつもサバの短冊は縫い指しが基本と思い込んでいたが、低活性の時間帯にはチョン掛けも試した方が良いということを露木さんから教わった。感謝です。

 

右舷大ドモに座っていた横地さん(横浜市)は高活性の時間帯に指5本かそれ以上の大物ばかりを数本立て続けに釣っていた。仕掛けを見てみると天秤の仕掛け側に小型水中ライトを装着していた。50m以浅の水深から考えると不要だろうと思ったが、もしかすると緩い点滅のライトに良型が反応しやすいのかもしれない。「まぁ、何が効果的なのかは分かりませんけどおまじないのようなモノでしょう」と苦笑い。それでも釣果は27本という数字を叩き出していた。前述の露木さんも全釣果が29本だから凄い数である。その数字を上回るのがタチウオ釣り2回目の伊東さんだ。33本で堂々の竿頭とはまたまた驚き。2回目にしてもうベテラン、タチウオマスーの称号をもらったようなものである。

 

一方、時々竿を置いて食事をしたりビールを飲んでいる温い釣り方の私は午後1時の沖上がりまでに15本を釣って大満足。1本だけ混じったメーターオーバーが満足感の大半を占める。強烈な突っ込みと海面直下での強引は夏タチウオの醍醐味だ。これからもっと浅くなれば15号の鋳込み天秤を使って海面直下まで追い掛けてくるタチウオ。当日は70cm級の夏タチ標準サイズも釣れたが、全体的に80cmオーバーが数多く釣れたので、食の面でも楽しめた。

 

刺し身はもちろん、簡単に調理できる塩焼きに加え、私のおすすめ料理はアルミホイルにバターを乗せるホイル包み焼きである。フライパン専用のアルミホイルの上にタマネギを敷いてからタチウオの切り身を乗せて、その上にシイタケカシメジを乗せる。そのシメジの隙間にバターの欠片を2個ぐらいのっけてからアルミホイルを包む。それをフライパンに乗せて焼けばいい。中火で7分程度。火を消してからもフタをしたまま5分以上蒸し焼きにするとほっこりとバターの香りが漂い、お酒が進むこと間違い無し。お好みで白ワインでもいいでしょう。言い忘れました。塩を振ってから一晩寝かせて、調理の直前に再度塩コショーを振れば少し濃いめの味付けになり、タチウオの味覚を再発見できるでしょう。

 




小坪港太郎丸 アコウダイ五目釣り

 

異例に梅雨明けが早かった関東では連日猛暑が続いていた7月中旬の16日、逗子の小坪港にある太郎丸からアコウダイ五目釣りに出掛けた。真夏に根魚というのもマニア好みだが、実は当日はスポーツ報知のファン感謝デーで乗合料金が通常のほぼ半額の6500円ということで約1ケ月前に予約を入れていた。その時には「キャンセル待ちということでお願いします」となり、1週間後くらいに船長から電話が入り「空席が出ましたのでいかがですか」と連絡が入って無事に乗船できることに。狙いは釣れればラッキーのアコウダイ五目が太郎丸のこの時期の釣りモノである。太郎丸は8月のカツオ狙いの他は周年深場の根魚が中心の人気船宿として知られている。

 

当日は運良く右舷の胴の間に席を構えることができた。天候は晴れ。風は南西だが風速4〜5m弱と弱風程度。定刻の午前6時の5分前に港を離れて向ったのはいつもの沖の瀬。クルージング時間は約50分。船長は魚探を見ながらポイントを探索すること約10分。午前7時5分には第一投が告げられた。ミヨシから順に投入するシステム。私は5番目に投入した。最初の水深は260mとやや浅い場所。オモリ250号に針数8本(最多で10本まで)の胴突き仕掛けが海底まで無事に届くと、糸フケを取りつつ底立ちを取り直す。船長の指示ダナは底から5m。ただこれは基本的にキンメ狙いのタナということを熟知しておくこと。

 

最初の投入で私の竿にアタリが出た。ただ何が食ったかは分からない。キンメらしき動きではないが、何かが掛かった感触は目視ですぐに分かった。船長は「アタリがあってもそのままの位置で待って下さい。巻き上げは左舷から巻き上げますから」という当日の指示が出された。当日の潮流は極端に速いという印象はないが、総勢16人が一度に巻き上げればオマツリする可能性は大きい、ということだろう。深場釣りの船長が言うことに間違いはない。

 

さて、巻き上げて浮いて行きた私の仕掛けに掛かっていたのは全長40cm弱のゴマサバが2本。トホホ、と思ったが速攻でエラを切って血抜きをしてクーラーBOXへ。沖の瀬水深260mのサバである。旬が夏というゴマサバなら間違いなく脂が乗っていて美味に違いないと確信したからだ。正直に言うと、2匹のうち1匹は切り身にして付け餌にしようと考えたのだが、それは数時間後、宿支給のサバの塩漬け短冊がなくなってからでも構わないだろうと思ったからだ。食が優先してしまうのは食いしん坊の性である。最近はビシアジ釣りに行ってもなかなかサバが釣れないから余計にそう考えたのだ。これが当日の貧果を招くとはつゆ知らず。

 

さて、気を取り直して第2投。次も水深270m前後。オモリが着底してから速攻で10mほど電動で巻き上げて再度底立ちをゆっくり取り直す。それから5mほど巻き上げて船長の指示ダナ、5mをキッチリと守る。キンメのタナは通常で5m上ということ。すると数分後に微妙なアタリが穂先に出た。だが、私の竿がやや硬調なためウッスラとしか確認できなかった。一瞬だが、不連続な小刻みに震えた感覚があったのだが、その後は動きが見られなかった。数分後に巻き上げ合図が出た時にはまさかキンメが掛かっているとは思っていなかったが、仕掛けを回収してみると一番下から2番目の針に小さいながらも本命のキンメが掛かっていたのだ。これはラッキーとしかいえない。8本針の下側の針に掛かるとアタリが明確に出ないことが多い。しかも、全長で27cm(後検寸)の小型だから余計に分かりにくかったのだろう。

 

その後、午前10時30分には船長はポイントを大きく移動。水深400mの深場で投入が再開された。この水深であればキンメよりはアコウダイがメインとなるのだが、船長からは特に仕掛けの変更や指示ダナの変動はは告げられなかった。それが後に大きなミスを招くことになるとは分からなかった。太郎丸に乗り馴れている常連であれば分かっていたことだろう。深場のアコウ狙いなら指示ダナは低くするのが一般的。オモリが底をトントンする程度にすればもう少しゲストも釣れたのだが、私はそのまま5m底上げの指示ダナでアタリを待ち続けた。

 

昼過ぎになっても私の竿には何も魚からの魚信は訪れないまま時間が過ぎる。船中では定番ゲストのユメカサゴ(この魚も煮付けにすると絶品)やスミヤキ、トウジンなどが釣れていた。ミヨシ2番に座った松本さん(横浜市)は値千金のアカムツを釣り上げていた。「400m以上になれば狙いはアコウでしょうから底トントンで下の方で誘いを掛けたら釣れました」と嬉しそう。深場釣りの経験はお父さんと一緒に約10年以上のキャリアがあるという。慣れというより機転を効かせた、根魚釣りの「引き出し」が多いということだろう。

 

結局、午後1時35分頃に無念の沖揚がり。私はキンメ1匹にゴマサバ2匹の貧果に終わった。反省点は他にもある。投入ミスがなんと2回もあり、その内の1回はリールのハンドルにハリスが絡まるという初歩的なトラブル。その流しで周囲がつれていたらショックは大きかったかも。だが、大半の人は空振りだったようだ。

 

数年ぶりに訪れた太郎丸はいつも通りのサービスが嬉しい。マグネット板を無料貸し出しはもちろん、タオルやタワシ(メダイ等のヌメリ除去用)も各人の釣り座に置かれていて気持ちの良い船宿であることを再認識した。港に戻ってから簡単な表彰式があり、キンメ5匹の竿頭の方にはオーブントースターなど豪華賞品が渡された。私は記念品のフェイスタオルだけ。それでも、当日夜食べたゴマサバの刺し身、翌日煮付けで食べたキンメダイはどれも絶品で酒が進む君となってしまった。欲を言えば、終盤の530mで底トントンを狙っていれば、アコウが釣れたかも。失礼。タラレバ、は御法度でしたね。まだまだ修行が足らないということだろう。

 




久比里山天丸 カワハギ釣り

 

カワハギ釣りのファンならたぶん御存知だろうと思うが、産卵時期は5月中旬から7月下旬までとされている。もちろん個体差はあると思うが、剣崎沖は7月末まで禁漁期間となっている。1年中カワハギ釣りの乗合船を出している久比里の船宿もこの時期だけは剣崎沖には行かれない。にも拘らずカワハギ釣りに行くのはこの時期ならではの豊潤な甘みの身肉の旨さにある。しかも、ワッペンは混じらずに大半が22cmオーバーの良型が多いから釣趣も楽しめる。

 

そんな話を釣り部後輩の栗原君にしたら「この時期のカワハギは釣ったことがないのでぜひ釣ってみたい」ということで7月3日の火曜日に久比里の山天丸を訪れた。平日なので前日に電話予約を入れると「出ますけどお一人ですか」と聞かれて「釣り仲間と2名で行きます」ということでOKを頂いた。当日は北九州に台風7号が接近しているというのに関東エリアでは南南西の風が7mほど吹く予報だったが、問題なく定刻の午前7時30分には平作川の桟橋を離れた。ところが、釣り客はなんと我々2名だけ。まさに大名釣りである。

 

船長は風裏となる久里浜沖からスタート。ポイントまではゆっくりとしたクルージングで約20分程度。水深16mから釣り開始となった。潮流は適度に流れていたが、決して速くはない。アサリの剥き身を3本針に付けて投入。しかし、アタリはなかなか訪れない。


私の仕掛けは球形オモリ25号にハリス3号のハゲ針4.5号の3本針。転々と群れが散っている時期だけにカワハギに仕掛けの存在をアピールする意味でタコベイトを被せた2号中オモリとその下にイチロコイタを装着し、その下に3本針仕掛けを取り付けた。

 

一方、栗原君は船宿支給の2本針を使っていた。エサも船宿の剥き身アサリを装餌していた。この時期なら2本針でも3本針でも大差はない。中錘は彼も装着していた。誘い方は少し違うかもしれないが、私の誘い方はいつも通り。オモリが着底したらすぐに2mほど仕掛けを巻き上げてエサ捕りのベラやトラギスを避ける。2m上から少しずつ仕掛けを揺すりながら少しずつ下げながらカワハギに餌をアピールして最後には底に着けて、ゼロテンションを2秒程度キープする。アタリがなければさらに仕掛けを弛ませて餌を食わせる間を与える。その直後に聞き合わせてリールを巻くと、ガガガっと掛かることが多い。

 

ところが、その釣り方で掛かるのは餌盗りのベラ類かトラギスが多い。水温が22度近い7月にはゲストは付き物。私が最初に掛けたのは20cm前後のカサゴ。ゲストとしては高級な部類である。ベラの種類も多彩で、キュウセンを筆頭にササノハ、本ベラなど数種類。さらにはクサフグなどのフグ類も針に掛かる。約1時間後に本命カワハギを掛けたのは私の方。しかも、後検寸で全長25.5cm。この時期らしい良型だ。その後も20cm級を1匹釣り上げて順調な滑り出しと思っていたら、その後は2時間以上もゲストの猛攻撃。
たまに、高級ゲストのカサゴが釣れると、ホッとする。お土産になるからだ。

 

船長は久里浜沖を諦めて下浦沖の少し深い場所に移動。水深は27〜30m前後。時々オモリが引っ掛かる根廻りらしく、底狙いでは根掛かりのリスクはあった。それでもオモリ着底後には数回のタタキを入れてから弛ませる釣り方を続けていると、昼前頃に俄然好調に栗原君が立て続けにカワハギを掛けるのには驚いた。10時30分頃からパタパタと3匹ほど一気に連釣すると、昼前には一気に5匹越えに。こちらもさすがに焦るもののどうにもアタリが出ない。というより、ゲストに翻弄されトラギスとベラ祭りが続く。

 

後で分かったことだが、産卵時期のカワハギは神経質になっているメスを釣るには静かで大人しい誘い方が大切だという。忙しいタタキや敏速な誘いは逆効果らしい。オスはそうでもないが、一般的に良型のカワハギは忙しい誘いには付いて来れないとか。群れが転々と散っている時期だけに数匹単位で遊泳するカワハギに餌を見つけさせたらゆっくりとして誘いで静かに誘うのがセオリーとのこと。いつもの一瞬にして3本のアサリが消え失せてしまう場合は、数匹のカワハギが寄っていると判断していいいだろう。

 

そんな活性が高まった午後1時40分頃に栗原君が当日最大となる全長29cmのメガハギを釣り上げたのだ。これには私もビックリ。手に持って撮影させてもらった時にサイズがデカイ!のだ。背びれを見ると長いヒレガ延びていて、すぐにオスと分かった。栗原君の嬉しそうな笑顔とともに撮影をすると、沖揚がりまで40分程度。私が追釣できたのはカサゴだけ。本命が2匹だけの私とは対照的に後半から終盤に釣り続けた栗原君はなんと7匹。帰港の船の中で、なんと2匹ものカワハギを頂戴してしまった。先輩としては情けない結果だが、これも釣りの世界では良くあること。スタートダッシュは良くても尻すぼみでは気分爽快とはいかない。最後に29cmのメガハギを釣り上げた栗原君はやはりカワハギ釣りが上手いということだろう。夏ハギは静かに誘いましょう!

 





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